博物館や美術館が少ない昭島市ですが、一風変わった家具の博物館があるのをご存じですか?
家具の博物館は、昭島市中神町にあるフランスベッド東京工場敷地内に設けられた博物館です。
概要
フランスベッド株式会社の創業者である池田実氏が発起し、フランスベッドグループ各社の協力により、昭和47年に家具の博物館が開設されました。当初は東京都中央区晴海にありましたが、平成16年に昭島市へ移転してきました。
最寄駅 | JR中神駅 |
住所 | 東京都昭島市中神町1148 |
営業時間 | 午前10時~午後4時30分 |
休館日 | 水曜日 |
入館料 | 200円(高校生以下無料) |
「家具」という言葉ができたのは近代のことで、それまであったのは調度品の類でした。調度品は実用性よりも装飾が重視されていました。高度経済成長期の折、調度品が残されていく一方で庶民の使う家具が捨てられていくことに危機感を抱いたのが、この博物館の原点になったそうです。
館内には江戸時代から明治・大正時代の和家具や、17世紀から19世紀の西洋アンティーク家具、タイやカンボジアの椅子など、1,700点余りの資料が展示されています。中には大正天皇が皇太子時代に使っておられたドレッサーなど、たいへん貴重な物もあります。
江戸時代の両替商の看板や帳場机など、時代劇好きにはお馴染みのアイテムが見られるのが興味深いです。面白いのは車輪付きの櫃で、家財道具などを入れておき、火事のときには動かして持ち出せるようになっています。しかし皮肉なことに、実際に火事がおきたときに大勢の人が櫃を持ち出して渋滞になり、罹災者が逃げ遅れる原因になったそうです。さらに路上の櫃に火が燃え移って被害が拡大したため、後に江戸幕府は車輪付きの櫃の製造・販売を禁止したそうです。
家具は実物だけでなく、菊地敏之氏のミニチュア椅子のコレクションも展示されていて、西洋家具の歴史が概観できるようになっています。
1,700点余りの収蔵品は、そのうち約1割を入れ替えながら展示しているので、何度か足を運んでみるのもよいでしょう。
アクセス
家具の博物館は、最寄駅であるJR中神駅北口から徒歩7分(500m)のところにあるフランスベッド東京工場の敷地内にあります。フランスベッド東京工場の正門を入ると、すぐ前に博物館の入り口があります。
博物館実習
家具の博物館は、学芸員資格取得を目指す博物館実習生の受け入れも行っています。
昭島人物紹介展「岡本正夫彫刻作品展」
家具の博物館は2022年5月1日から5月22日までの期間に昭島人物紹介展「岡本正夫彫刻作品展」を開催します。
昭島人物紹介展は、家具の博物館が地域に根ざした博物館として、毎年開催している展覧会で、地元昭島市で家具工芸品等の創作活動を行っている人物と作品を紹介しています。
今回は、昭島市在住の彫刻家である岡本正夫氏の彫刻作品約15点を展示されます。岡本正夫氏は、小学6年生の頃から彫刻作品の制作にとりかかり、成人を迎えてからは独学で仏像制作を行っています。2020年には「十一面観音」が「第12回あきしま市内芸術家公募展」で昭和の森芸術文化振興会会長賞を受賞しました。本展覧会では「十一面観音」を含む、力強い彫刻作品を鑑賞できます。
参考文献
一般財団法人家具の博物館 (2022) 力強い仏像彫刻作品約15点を展示 昭島人物紹介展「岡本正夫彫刻作品展」を開催
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